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MTECジャーナル 第19号(2007年3月)

過去に発行した論文誌「MTECジャーナル」をご紹介いたします。

所属は当時

著者 鈴木 賢一(東北大学)
タイトル 2次型損失関数による多期間資産選択問題の近似解法
要旨

本論文では,多期間の資産選択問題をデータや制約の性質のちがいによって前半と後半の二つのフェイズにわけてとらえ,後半のフェイズを縮約した形で前半のフェイズのモデルに組み込むような定式化を考察した.後半フェイズの評価には,2次型の損失関数を導入し,取引戦略に制約のない場合および線形な等式制約については正確な評価関数および取引戦略を導出した.一般的な不等式制約の場合には,近似的な評価手法を提案した.いずれの場合でも,後半フェイズの評価関数は,初期資産額の2次関数として表される.

著者 橋口 浩隆(MTEC)
タイトル コンセンサス予想利益の構築と予想精度, 価値関連性に関する実証分析
要旨

本稿は,太田(2005)にならい,さまざまな予想利益についてその予想精度,および価値関連性の比較検討を行った.比較対象の予想利益として,企業が自ら発表する会社予想,東洋経済新報社の東洋経済予想に加え,さまざまな算出ルールに基づいて新たに作成したコンセンサス予想を利用した.その結果,予想の鮮度に関連する算出ルールを適用したコンセンサス予想は,他の予想に比べて有意に精度が高く,また市場はそうした予想を織り込んで価格付けしていることがわかった.

著者 加藤 恭(MTEC)
タイトル マーケット・インパクトを考慮した市場モデルにおける最適執行問題
要旨

本論文ではマーケット・インパクト,即ち自己の取引が株価に及ぼす影響を考慮した市場モデルにおける投資家の最適執行問題を確率制御問題として数学的に定式化し,投資家の値関数 (value function) の性質について研究を行った.まず投資家の最適執行問題を離散時間の確率制御問題として定式化し,取引時刻の間隔を短くした時の極限として連続時間モデルにおける値関数を導出した.さらに連続時間モデルの値関数がある非線形偏微分方程式 (HJB ; Hamilton-Jacobi-Bellman 方程式) の粘性解となることを示した。

著者 山本 零(MTEC), 今野 浩(中央大学)
タイトル Maximal Predictability Portfolio の構築と評価
要旨

1997年に新しいポートフォリオ構築方法として,収益率の予測可能性に着目したMaximal Predictability Portfolio (MPP)がLo and MacKinlayによって提案された.しかしながら, MPPの構築問題は,凸2次関数の比の最大化問題という大域的最適解を得ることが非常に困難な問題として定式化されたため,現実的な規模でMPPの分析を行った研究はいまだ行われていない.

本論文では,2005年にYamamoto and Konnoによって提案されたアルゴリズムを用いて,日経225構成銘柄でMPPを構築し,個別銘柄を用いたMPPが現実的な計算時間で構築可能であることを示す.また,MPPと一般的な平均・分散ポートフォリオの比較を行い,MPPのポートフォリオ特性,パフォーマンスについて検証を行う.