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MTECジャーナル 第18号(2006年3月)

過去に発行した論文誌「MTECジャーナル」をご紹介いたします。

所属は当時

著者 Takuji Arai(Keio University)
タイトル Some Remarks on the Approximate Approach to the EUIV
要旨

Our first aim of this paper is to introduce a new valuation method for contingent claims in incomplete markets, which approximates to the exponential utility indifference valuation (EUIV, for short). In the definition of the EUIV, we require a strong condition related to the underlying contingent claim. For example, European call options in Black-Scholes type models do not satisfy this strong condition. On the other hand, by using a kind of power functions instead of the exponential function, we succeed in providing a new valuation, which is well-defined under a reduced condition which Black-Scholes type models satisfy. Furthermore, we purpose to give some remarks and future problems with respect to our new valuation in the last section.

著者 鈴木 淳生(南山大学), 澤木 勝茂(南山大学)
タイトル 永久ゲームプットオプションとその応用について
要旨

ゲームオプションは買い手が任意の時刻で権利を行使することができるのと同様に,売り手もまた任意の時刻でペナルティを支払うことで契約をキャンセルすることができるオプションである.このようなオプションは買い手と売り手とからなる最適停止問題として定式化される.本論文では, 永久ゲームプットオプションの売り手と買い手の最適行使境界と価格式を導出する.また,永久ゲームオプションの応用としてロシアンオプションの売り手に償還できる条項を与えた償還条項付きロシアンオプションを扱う.

著者 山内 浩嗣(MTEC)
タイトル 多目的GAを用いた信用リスクモデルの財務指標選択
要旨

本研究の目的は,多目的GA(Multi-Objective Genetic Algorithm)を用いて,信用リスクモデルの財務指標選択の一手法を提案することにある.本手法においては,融資実務における信用リスクモデルの2つの主たる役割である「正常企業/デフォルト企業の二群判別」と「モデル出力値と格付との序列整合性」を両立させるため,それぞれの役割に関するモデル精度を同時に高めうる指標の組み合わせが得られるよう変数選択問題を定式化し,多目的GAによって解探索を行っている.

著者 山本 零(MTEC), 今野 浩(中央大学)
タイトル 平均・分散・歪度モデルの効率的解法と評価
要旨

一般的な投資環境下では,平均・分散モデルは,期待効用最大化の意味で合理的な意思決定を行うことができないモデルであり,より高次のモーメントを考慮した平均・分散・歪度モデルが必要となる.しかしながら,平均・分散・歪度モデルは,非凹型関数の最大化問題とて定式化されるため,実用的な規模で求解することが困難とされてきた.本論文は,平均・分散・歪度モデルを解くために区分線形アルゴリズムを提案し,実用規模の問題を現実的な計算時間内で解くことができることを実証する.また,平均・分散モデルと平均・分散・歪度モデルの比較を行い,その有効性についても検証を行う.

著者 瀬古 進(MTEC)
タイトル ゲームプットの解析的性質について
要旨

本論文の目的は,ゲームプットオプションの解析的な性質を導出することである.ゲームオプションとは,オプションの買い手(保有者)が任意の時刻で権利を行使することができるのに加え,売り手(発行人)もまた任意の時刻で契約をキャンセルすることができる権利が付与されたオプションである.本論文では,このようなオプションに対し,売り手と買い手それぞれの最適権利行使領域の性質を解析的に導出している.また,ゲームプットの価格がヨーロピアンプットの価格と買い手の早期行使プレミアムとの和から売り手の早期キャンセルディスカウントを引いた形で表現できることも示す.

著者 川口 宗紀(MTEC), 中川 秀敏(東京工業大学)
タイトル インパルスコントロールを用いた住宅ローン・プリペイメントモデル
要旨

住宅ローンやMBS(Mortgage-Backed Securities)の評価において,プリペイメントは非常に重要なリスクファクターである.本稿では,固定金利の元利金等返済型住宅ローンを借りている債務者(モーゲージャー)が,定められたコストを支払うことで「借換」と「部分返済」の二種類のプリペイメントが可能という設定のもとで,当初ローンの返済終了時点におけるモーゲージャーの富に対する期待効用の最大化問題を定式化する.対応する最適なプリペイメン卜戦略を求めるために,インパルスコントロールの議論を応用して,期待効用最大化問題の値関数がベルマン原理を満たすことを示し,QVI(擬変分不等式)を導出する.また,QVIの解が滑らかであるという仮定の下で,QVIの解が元の最大化問題の解になることを示す.